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アスベストを含む建物の見分け方と対策|建物所有者・維持管理者がとるべき行動

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アスベストを含む建築物とは?使用されている可能性のある年代

アスベストは耐火性や断熱性に優れた建材として、かつて広く使用されていました。
特に吹き付け材・保温材・成形板などに多く含まれており、1950年代から1980年代後半までの建築物に使用された可能性が高いとされています。

日本では1975年以降、吹き付けアスベストの使用が制限され、2006年には原則としてすべてのアスベスト含有製品の使用が禁止されました。
しかし、それ以前に建設された建物には、未だにアスベストが残存している場合があります。

2006年9月1日より前に建てられた建物の所有者や維持管理者は、建築年と使用された建材を確認し、必要に応じて有資格者によるアスベスト事前調査を依頼することが必要です。

アスベスト含有建物を所有・管理することで発生するリスクと対応義務

アスベストを含有する建物を所有・管理している場合、適切な対応を怠ると健康被害や法的責任といった深刻なリスクを招く可能性があります。

アスベストは劣化解体改修時飛散しやすく、その繊維を吸引することで中皮腫肺がんなどの重篤な健康被害を引き起こします。
これにより、建物利用者や作業者が被害を受けた場合、所有者や管理者が損害賠償責任を問われることがあります。

また、解体・改修工事を行う際は建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化されるなど、法的な対応も強化されており、規定に違反した場合は行政指導や罰則の対象になります。
解体や改修工事を行う際にはアスベストの有無を確認し、必要に応じて専門業者による除去や飛散防止措置を講じる必要があります。

さらに、所有者・管理者は建物の状態を定期的に確認し、アスベストに関する情報を記録・保管し、関係者に周知する責任があります。
建物所有者や維持管理者にとって適切なリスク管理と法令遵守が、安全な建物運用には必要不可欠です。

建物にアスベストが使用されているか判別する方法|書類確認と現場の調査ポイント

建物にアスベストが使用されているかを判別するためには、まず設計図書建築確認申請書竣工図仕様書などの書類を確認することが重要です。
これらの資料には使用された建材の種類や施工時期が記載されており、アスベスト含有の可能性を把握する手がかりになります。
特に1970年代から1990年代初頭に建てられた建物では、アスベスト建材が使われている可能性が高いため、注意が必要です。

書類で新築着工日が判断できない場合や情報が不十分な場合には、現場での目視調査が必要です。
確認対象は吹き付け材断熱材屋根材外壁材床材など幅広く、劣化や粉じんの有無も確認ポイントです。

ただし、外見からアスベストの有無を判断するのは困難なため、正確な判別には建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による詳細な調査が求められます。
必要に応じてサンプル採取と分析検査を行い、確実な判定を行うことが推奨されています。

アスベスト調査・除去にかかる費用相場と公的支援の活用法

アスベストの調査や除去には専門的な知識と技術が必要であり、一定の費用がかかります。

まず、建物内のアスベスト含有の有無を確認するための事前調査は、規模にもよりますが数万円から数十万円程度が一般的です。
分析調査を伴う場合は、1検体あたり1万〜3万円程度の費用がかかります。

一方、アスベスト除去工事の費用は建材の種類や面積、施工の難易度により大きく異なり、数十万円から数百万円、場合によっては1000万円以上になるケースもあります。
こうした高額な費用負担を軽減するため、自治体や国による補助制度が設けられている場合があります。

たとえば、老朽化した建物の解体に伴うアスベスト除去費用の一部を助成する制度や、調査費用を補助する制度があり、対象や金額、申請方法は自治体ごとに異なります。
公的支援を受けるには、事前申請が必要な場合が多く、補助対象となる工事内容や施工業者の条件も定められているため、早めに各自治体の窓口や公式サイトで確認し、計画的に進めることが重要です。

アスベスト含有建物の解体・リフォーム時に注意すべき法令と準備

建物を解体・リフォームする際には、アスベストによる健康被害や環境汚染を防ぐため、厳格な法令に基づいた対応が求められます。

まず、作業開始前に建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が義務付けられており、その結果は所轄労働基準監督署と自治体等への報告が必要です。

加えて、より石綿の飛散性が高いレベル1、2のアスベストが使用されていた場合は、大気汚染防止法に基づき、工事の発注者解体・改修工事の14日前までに自治体へ届出を行わなければなりません。
なお、工事の元請事業者も労働安全衛生法に基づき、工事の14日前までに労働基準監督署への届出が必要になります。

作業中は飛散防止措置や隔離作業などが法律で定められており、不適切な処理は罰則の対象となります。
工事を依頼する際は、信頼のできる業者を選定することが重要です。

また、近隣住民への説明や苦情対策、廃棄物の適正な処理ルートの構築も重要な準備の一つ。
法令に基づいた手続きを怠ると、施工停止や罰金などの行政処分を受ける可能性があります。

そのため、計画する段階から十分な調査と準備を行い、法令遵守を徹底することが安全かつ円滑な工事のポイントになります。

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