家のアスベストをゼロから理解|調べる方法や飛散時の危険性、適切な対処法を徹底理解
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アスベストによる健康被害とは?
アスベストの繊維は非常に細かく、髪の毛の直径よりもさらに微細で、肉眼では確認できません。
この繊維が空気中に飛散すると、呼吸によって容易に体内に取り込まれます。
一度肺に入り込むと排出されにくく、長期間にわたり体内に留まり続けます。
時間の経過とともに炎症や線維化を引き起こし、最終的に深刻な疾患に発展する可能性があります。
代表的な疾病には石綿肺、肺がん、悪性中皮腫があります。
石綿肺は肺が硬化して呼吸が困難になる病気で、長期間ばく露した作業従事者を中心に報告されています。
悪性中皮腫はアスベストばく露との因果関係が強く認められており、胸膜や腹膜に腫瘍が発生する難治性のがんです。
また、肺がんの発症リスクも高まり、喫煙との相乗作用でさらに危険性が増すと指摘されています。
これらの疾患はいずれも潜伏期間が長く、ばく露から20年から40年経過してから症状が現れることも少なくありません。
そのため「静かな時限爆弾」と呼ばれることもあります。
建物の中にアスベストが残っている場合、すぐに健康被害が出るわけではありません。
一般的な住宅で広く使われていた「石綿含有成形板等」に含まれる多くの建材は、セメントや樹脂にアスベスト繊維が練り込まれており、固形の状態では繊維が飛散しにくいからです。
ただし、老朽化や解体によって破損したときには飛散のリスクが一気に高まるため注意が必要です。
家でアスベスト含有の可能性がある箇所
住宅におけるアスベストの使用箇所は多岐にわたります。
築年数が30年以上経過している家では特に注意が必要です。
屋根材として使用されてきたスレート板は代表的なもので、住宅だけでなく倉庫や工場にも広く採用されていました。
外壁に使われる窯業系サイディングや押出成形セメント板にもアスベストが含まれているケースがあります。
内装部分では、ビニル床タイルやクッションフロアの接着剤、天井材や壁材などにも使用されていました。
さらに、浴室や台所など湿気の多い空間では、防水性や防カビ性を高める目的でアスベストを含む建材が利用されることもあります。
そのため、生活のあらゆる場所に潜んでいる可能性があるといえます。
特に2006年9月1日より前に着工された建物は注意が必要です。
この日以降、重量比0.1%を超えるアスベストを含む製品の製造・輸入・使用が全面禁止されたため、それより前に着工された建物にはアスベスト含有建材が使われている可能性があります。
新築着工日を把握し、該当する場合は含有の有無を慎重に確認する必要があります。
家の壁のアスベスト含有を調べる方法
家の壁にアスベストが含まれているかを判断するには、まず建築時期の確認が出発点となります。
2006年より前に建てられた住宅はアスベスト含有建材使用の可能性があり、さらに1980年代から1990年代にかけて建築された家では特に使用例が多く見られます。
建築時の図面や仕様書を確認することでも手がかりを得られる場合があります。
ただし、見た目や図面の記載だけでは含有の有無を特定できません。
建材の特定ができない場合、最終的な確認は、有資格者による事前調査と分析機関での検査によって行われます。
壁材の一部を採取し、偏光顕微鏡や電子顕微鏡などを用いた分析で繊維の有無を確認します。
この分析結果によって初めてアスベスト含有の有無が確定されます。
また、建物を解体する際や大規模なリフォームを行う場合には、工事の請負業者に事前調査の実施が義務づけられており、発注者や建物の所有者もその調査に協力しなければなりません。
さらに、事前調査結果報告書は自治体に届け出る必要があり、怠ると罰則の対象になることもあります。
工事の際に家の壁にアスベストが使われているかを確認することは、単なる安心材料ではなく、法的にも求められる重要な手続きです。
アスベストの飛散が問題になるケースはある?
アスベストは固形化された状態では飛散の危険性が低いといわれていますが、条件次第では大きなリスクとなります。
特に問題となるのは、解体工事や改修工事の際です。
壁材を切断したり削ったりする過程で繊維が粉じんとなって空気中に舞い上がり、周辺に拡散する可能性が高まります。
作業従事者がばく露するだけでなく、近隣住民や通行人が吸い込む恐れもあり、社会的な問題となります。
また、老朽化が進んで壁が崩れやすくなっている場合にも注意が必要です。
ひび割れや欠けから繊維が漏れ出し、風によって飛散する可能性があります。
災害時も例外ではなく、大地震や台風などで建物が破損すれば、一気に広範囲に飛散する危険があります。
このように、アスベストの飛散は特定の場面で突発的に発生することがあり、予測が難しい場合もあります。
そのため、住宅の解体や改修にあたっては、事前調査と適切な飛散防止措置を徹底することが不可欠です。
家の壁にアスベストが使用されていた場合の対処法
家の壁にアスベストが使用されていることが判明した場合でも、成形板等のレベル3の建材かつ劣化がなければそのまま住んでいても健康被害へのリスクは比較的低いといえます。
ただし、改修・解体等の工事を行う場合には必ず法律に基づいた手続きを正しく踏むことが求められます。
建物所有者や発注者(施主/工事の注文者)は、石綿の法令対応を正しく行うことのできる業者を選定することが重要です。
元請業者はまず、石綿含有建材調査者の有資格者による事前調査を行い、その結果を行政に報告します。
調査の結果石綿の含有が認められる場合や、石綿ありと「みなす」場合に次に進められるのが、実際の作業に先立つ飛散防止措置の準備です。
アスベスト含有建材の除去等を行う工事では、壁材を切断したり破砕したりする過程でアスベスト繊維が空気中に飛散する恐れがあります。
これを防ぐために、作業中は散水によって建材を湿らせ、粉じんが飛散しにくい環境を整えます。
さらに、飛散性の高い建材、工法の場合は養生シートで工事区域をしっかりと覆い、外部への拡散を防止します。
また、作業従事者への配慮も重要です。
現場で働く人々には防じんマスクや作業衣・保護衣の着用を徹底させ、身体への付着や吸入を防ぎます。
工事現場の区域は明確に区切られ、関係者以外の立ち入りを制限します。
これによって、周辺住民や通行人が誤ってばく露することを防ぎ、現場全体の安全性を高めることが可能となります。
工事が終了した後には、工事の記録を詳細に残し、報告書としてまとめることが求められます。
記録には、どのような方法で撤去作業を行ったのか、飛散防止措置がどのように実施されたのか、撤去した建材や粉じんがどのように処理されたのかといった内容が含まれます。
廃棄物の処理も厳格なルールに従って行われます。
撤去されたアスベスト含有建材は産業廃棄物として扱われ、専用の袋や容器に入れて密封したうえで、適正な許可を持つ処理業者に引き渡します。
この工程を適切に行わなければ、飛散リスクが再び生じる可能性があるため、最後まで注意深い管理が不可欠です。
このように、家の壁にアスベストが含まれていた場合の改修・解体工事の対処は、調査・報告から工事、廃棄物処理、記録保存に至るまで一連の流れが法律によって規定されています。
各段階を丁寧に実施することが、将来的な健康被害を防ぎ、社会全体の安全と安心を確保することにつながります。
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