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アスベストはなぜ危険?健康被害の仕組みとばく露しやすい製品・場所、対処法について

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アスベストの健康被害とは

アスベストは、極めて細い繊維状の鉱物で、かつて建築資材として広く利用されてきました。髪の毛の数百千分の一という細さを持つため空気中に容易に浮遊し、人が吸い込むことで呼吸器系の健康被害を引き起こすことがあります。特に問題となるのは、吸入された石綿繊維の一部が肺の奥深くまで沈着し、体内に長期間残留する点です。石綿繊維は丈夫で分解されにくいため、長年にわたり肺組織に刺激を与え続けます。

この刺激によって慢性的な炎症が生じると、肺の組織が硬化していく「石綿肺(じん肺の一種)」を発症することがあります。また、発生した活性酸素が遺伝子を傷つけることで、肺がんや悪性中皮腫といった深刻な疾病を引き起こすことも確認されています。これらの病気は発症までに数十年という潜伏期間を伴うため、過去にばく曝露した人が高齢になってから発症するケースも多く、社会的にも大きな問題となっています。

アスベストの健康リスクは繊維の形状や種類によっても異なります。細くて長い繊維ほど体内から排出されにくく、特に角閃石系のクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)は、邪紋石系のクリソタイル(白石綿)よりも発がん性が高いとされています。どの程度吸入すれば発症する必ず病気になるかは明確ではありませんが、ばく曝露量と発症率には相関が認められており、少量であっても危険性は否定できません。

アスベストによる病気の種類と症状

アスベストに起因する健康障害として、まず挙げられるのが「悪性中皮腫」です。胸膜や腹膜、心膜など臓器を覆う膜に発生する悪性腫瘍で、胸痛や呼吸困難、腹水による腹部膨満などがみられます。潜伏期間は20〜50年と非常に長く、初期症状が乏しいため発見が遅れやすいのが特徴です。

次に「肺がん」があります。アスベストばく露と喫煙が重なることでリスクは大幅に増加するとされます。症状は咳や血痰、息切れなどですが、検査で偶然発見されるケースも少なくありません。

「石綿肺」は、長期間にわたり多量のアスベスト粉じんを吸入したことで肺が線維化する病気で、息切れや慢性的な咳、痰が代表的な症状です。進行すると呼吸不全に至ることもあります。

また、「びまん性胸膜肥厚」は胸膜が厚く硬くなる病気で、肺が十分に膨らまず強い呼吸困難を招きます。高濃度ばく曝露から30〜40年後に発症することが多いとされています。

さらに「良性石綿胸水」という胸膜炎の一種もあります。胸痛や発熱、咳が現れ、胸水が自然に消失と再発を繰り返すケースもあり、やがて胸膜肥厚に進行する可能性があります。

アスベストによる健康被害は、発症時に発覚した時点ではすでに進行していることが多く、治療が難しいのが現実です。そのため、過去にアスベストを吸い込んだ可能性のある方は、症状がなくても定期的に検査を受けることが重要です。早期に異常を把握することで、病気の進行を抑え、適切な治療や支援制度の利用につなげることができます。

アスベストが使用されている製品や場所

代表的なものに吹付けアスベストがあります。セメントと混合して鉄骨や天井に吹き付けられ、耐火や防音の目的で使われました。1975年に規制が強化されましたが、既存建物に残っている例も少なくありません。吹付けロックウールも同様で、当初はアスベストを混合していたため、1990年以前の施工物件には含有の可能性があります。

また、保温材や断熱材にも広く利用され、特にボイラーや配管、化学プラント設備などに使用されました。アモサイト(茶石綿)を原料としたものは発がん性が高いとされ、特に注意が必要です。建築材料では、スレート波板、ケイ酸カルシウム板、押出成形セメント板、外装材、屋根材、床材など多岐にわたり、住宅や学校、公共施設でも確認されています。

さらに、自動車や産業機械のブレーキパッドやクラッチなどの摩擦材にも使用されていますました2004年以降は製造や使用が禁止されましたが、古い車両や部品に残存している場合があります。その他にも、配管や機器の接合部に用いられたパッキンやガスケット、石綿セメント管、工業用の石綿布や石綿リボンなども製造されてきました。

このように、アスベストは建材を中心として生活環境に幅広く浸透してきました。現在では新規の使用は禁止されていますが、既存建物や古い製品に残存している可能性が高いため、解体や改修を行う際には専門的な調査と適切な処理が欠かせません。

アスベスト被害に遭った場合の対応

被害に遭った場合にまず重要なのは、医療機関での診断と経過観察です。咳や息切れ、胸の痛みなど気になる症状がある場合は早期に受診し、専門の検査を受けることが望まれます。診断が確定した際には、補償制度や救済制度の活用も検討しましょうを検討することが必要です。

代表的な制度の一つに「建設アスベスト給付金」があります。これは建設業に従事していた方で、特定の期間にアスベストを扱い、一定の疾患を発症した場合に給付金が支給される仕組みです。給付額は病態によって異なり、数百万円から千万円を超える場合もあります。

また、工場でのばく露による被害については、国を相手に訴訟を起こし、和解を通じて賠償金を受け取る道が用意されています。さらに、労災保険の対象となるケースもあり、業務上のばく露が原因で病気を発症した場合には、医療費や休業補償、遺族補償などが支給されます。

一方、職業によらず地域や家庭内でアスベストにさらされた場合には、「石綿健康被害救済制度」による補償が受けられる可能性があります。この制度では、医療費や療養手当、葬祭料、遺族への弔慰金などが支給対象となります。また、企業に対して損害賠償を求めることも選択肢の一つです。

建材メーカーや使用者に責任があると認められる場合には、訴訟を通じて賠償金が得られる可能性があります。ただし、法的手続きには専門的な知識と証拠の裏付けが必要なため、弁護士に相談して進めることが推奨されます。

このように、アスベスト被害に遭った場合の対応は複数あり、状況によって利用できる制度や請求方法が異なります。自身や家族が対象となるかどうか判断に迷う場合には、専門機関や弁護士に早めに相談し、適切な補償を受ける道を探ることが大切です。

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