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アスベストが使われた住宅の基礎知識|見分け方から安全な対処法、費用相場まで解説

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アスベストは住宅にも使われている可能性はある?

アスベストは、天然の鉱物繊維で、耐火性断熱性、防音性などに優れていたことから、過去には住宅やマンションの建材等に広く使用されてきました。特に1950年代から1990年代にかけての建築物では、屋根材、壁材、天井材などにアスベストを含んだスレートボードやけい酸カルシウム板が利用されていた可能性があります。

また、吹付けアスベストは一戸建て住宅ではほとんど例がありませんが、マンションの駐車場や共用部分などで用いられたケースもあり、注意が必要です。

現在では法規制により製造や使用が禁止されていますが、既存の建物にはそのまま残っている場合があります。

アスベストが人体に及ぼす危険性について

アスベストはかつて建材や断熱材などに幅広く利用されてきましたが、その微細な繊維が人体に深刻な影響を及ぼすことが分かり、現在では使用が禁止されています。問題となるのは、アスベスト繊維が空気中に飛散し、それを吸入した場合です。繊維は非常に細いため肺の奥深くに到達しやすく、一度体内に入ると分解されず長期間とどまり続けます。その結果、慢性的な炎症や組織の損傷を引き起こし、時間の経過とともに重大な疾患へ発展する可能性があります。

代表的な健康被害には「石綿肺」と呼ばれる肺組織の線維化があります。これは息切れや咳、痰の増加といった症状を伴い、進行すると呼吸機能の低下につながります。さらに深刻なのは「肺がん」「悪性中皮腫」といったがんの発症リスクです。特に悪性中皮腫はアスベスト曝露と強く関連しており、潜伏期間が数十年に及ぶことが知られています。

そのため、過去にアスベストに曝露した人が高齢になってから発症するケースも多く報告されています。また、胸膜が厚く硬くなる「びまん性胸膜肥厚」も発症例があり、呼吸困難や胸部の痛みを伴います。

健康被害の発生は曝露量や期間に比例する傾向がありますが、少量の曝露でも長期間にわたればリスクは高まります。特に喫煙者がアスベストに曝露すると肺がんの発症率が相乗的に高まることが確認されており、注意が必要です。

このようにアスベストは潜伏期間が長く、症状が現れるころには病気が進行していることが多いため、曝露経験のある人は石綿健康診断やじん肺健康診断の定期的な健康診断を受けることが重要です。人体への影響を正しく理解し、リスクを避けるための知識と対策を持つことが、自分や家族を守る第一歩といえます。

アスベストが使用されている住宅か見分ける方法

見分ける際の手掛かりとしては、外壁や屋根に使用されている建材の種類も重要です。代表的なものとして、スレート屋根材やセメント瓦、繊維強化セメント板、サイディング材、1970〜1990年代に使われた下地調整塗材などがあります。これらの建材は当時アスベストを含有して製造されていた可能性があり、使用時期と合わせて確認することで判断材料となります。また、設計図書や資材の仕様書に記載が残っている場合もあるため、保管している場合は目を通してみるとよいでしょう。

ただし、外観や簡易的な確認だけでアスベストの有無を断定することは困難です。確実に見分けたい場合は、建築物石綿含有建材調査者など資格を持つ専門家に依頼を行うか、分析会社に依頼して調査を行う必要があります。

アスベストは建材の劣化や損傷による飛散が生じない限り、日常生活で直ちに危険となるわけではありません。しかし老朽化や工事による損傷で飛散すれば、肺がんや中皮腫などの重大な健康被害を招く可能性があります。築年数や使用建材から不安を感じた場合には、自己判断せずに専門家へ調査を依頼し、安全性を確かめておくことが大切です。

住宅にアスベストが使用されていた場合の対処法

住宅にアスベストが使用されていた場合には、法律に基づいた適切な対応が必要です。まず重要なのは、解体やリフォームを行う前に必ず事前調査を実施することです。調査は設計図書や目視確認に加え、必要に応じてサンプル分析が行われます。

2023年10月以降「建築物石綿含有建材調査者」などの資格者による調査が義務化されており、事前調査結果は3年間保存し、現場にも掲示しなければなりません。2006年9月1日以前に建築された住宅では、外壁材や屋根材などにアスベストが含まれている可能性があるため、特に注意が必要です。

調査でアスベストの使用が確認された場合、その建材の発じん性に応じてレベル1からレベル3に分類され、対応方法が変わります。レベル1やレベル2に該当する場合は、工事開始の14日前までに管轄行政へ工事計画届出を行い、現場を隔離し、集じん機や排気装置を設置するなど厳格な飛散防止措置が必要です。レベル3であっても湿潤化や作業員の保護具着用など基本的な対策が求められます。

レベル1・レベル2の除去後は、廃棄物を特別管理産業廃棄物(廃石綿等)として、レベル3の除去後は石綿含有産業廃棄物として処理する義務があり、許可を受けた収集運搬業者を通じて最終処分場に搬入します。廃棄物処理法に基づきマニフェストで管理する必要があり、不法投棄はもちろんのこと法令に沿わない不適正処理は固く禁じられています。

アスベストの飛散は健康被害に直結するため、安易に放置したり自己処理したりするのは非常に危険です。必ず専門資格を持つ解体・除去業者に依頼し、法令を遵守した安全な対応を取ることが求められます。

アスベストが使用されていた場合の除去費用

アスベストが使用されている建物を解体・改修する際には、通常の工事と異なり特別な除去作業が必要となり、その費用は工事概要や発じん性のレベルによって大きく変動します。アスベストは発じん性の高さによりレベル1からレベル3に分類され、最も危険性の高いレベル1では厳重な隔離や負圧集じん装置の設置が義務付けられるため、除去費用も高額になる傾向があります。

具体的な目安として、屋根材に含まれる石綿スレートを撤去する場合は、30坪程度の住宅で約20万円~30万円前後かかるケースが多いとされます。外壁材では面積が広くなるため、40万円程度の費用が見込まれます。これらはいずれもレベル3に分類されることが多く、湿潤化して粉じんを抑えながら作業が進められます。

一方、内壁や配管、天井、梁などに吹付けアスベストが使用されている場合は、レベル1やレベル2に該当し、1㎡あたり1万円から8万円程度と高額になりやすく、建物全体では数百万円に達することもあります。これは飛散リスクが非常に高く、作業員に防護服や防じんマスクを着用させた上で、作業場所の隔離やセキュリティーゾーンの設置、排気装置の設置等を適切に実施し、除去作業を行う必要があります。

工事に伴って生じた廃棄物は、廃棄物処理法の規定に基づき、産業廃棄物処理業者による運搬・処分が義務付けられています。撤去したアスベストは二重梱包等により密封梱包され、内容物の表示を行った上で適正に処理されるべきものです。アスベストを含む廃棄物の処理費用は、含まない場合と比較して2~10倍ほど高騰する傾向にあります。

不法投棄や不適正処理を防ぐため、マニフェスト伝票により処理工程を記録・保管することが義務づけられています。紙マニフェスト伝票を交付した場合、その保存期間は5年間です。

このように、調査、施工、廃棄物処理の費用が高額になることから、多くの自治体では調査費用や除去工事の一部を補助する制度を設けています。

例えば、調査費用を全額負担し、除去費用の2/3を上限付きで助成する制度も見られます。住宅の解体や改修を検討する際には、まず事前調査を行い、見積もりを複数取り、併せて自治体の補助金制度を確認しておくことが重要です。

アスベスト除去費用は建築材料が指定されている等、自治体により条件が異なります。安全と健康を守るためには、必ず資格を持つ専門業者に依頼し、法令を遵守した工事を進めることが不可欠です。

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