アスベスト事前調査・分析調査の基礎知識|調査内容・不要なケース・費用相場を解説
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アスベスト事前調査とは?目的や必要性
アスベスト事前調査とは、建築物や工作物の解体工事、改修・リフォーム工事を行う前に、対象となる建材にアスベストが含まれているかを確認するための調査を指します。事前調査は単なる建築材料に石綿が含有されているかの確認作業ではなく、作業員の健康被害の抑制や周辺環境の保全、さらに事業計画全体のリスク回避を行うために不可欠です。事前調査は主に三つの段階で実施されます。第一に、設計図書や改修履歴などを確認する書面調査を行い、アスベスト使用の建材が含まれていないか整理します。第二に、資格を有する調査者が書面調査を行い、現地で建材の種類や状態に相違がないか目視調査を行います。これらの調査段階において判断できない場合は、建材の一部をサンプルとして採取し、専門機関で分析調査を実施します。分析結果により、アスベスト含有の有無が確定します。
事前調査が必要とされる理由の一つは健康被害の防止です。アスベストは極めて微細な繊維で、吸入すると長い年月を経て重い疾病を引き起こすおそれがあります。解体や改修時には飛散リスクが高まるため、事前に含有箇所を把握し、適切な対策を講じることが必要です。
また、事前調査は法律上の義務でもあります。石綿障害予防規則や大気汚染防止法により、一定の工事では調査の実施と結果の記録、報告が求められています。調査を怠った場合、罰則や工事中断といったリスクが生じる可能性があります。
さらに、事前調査は工事計画を予定通り遂行させる役割があります。調査を実施せずに工事を開始し、施工途中でアスベストが判明すると、工期工期の遅延や追加費用が発生する可能性があります。事前にリスクを把握することで、計画的な工程管理と費用削減が見込めます。
アスベスト分析調査とは?事前調査との違い
事前調査では、まず図面や仕様書を確認する書面調査、現地で建材を確認する目視調査を行います。この段階でアスベストが使用されていないことが明確に確認できれば、分析調査は不要となる場合があります。しかし、建材の種類や年代などから判断がつかない場合には、分析調査を実施して含有の有無を確定させます。
分析調査の特徴は、肉眼では判断できない微細な繊維まで確認できることです。実体顕微鏡や偏光顕微鏡、X線装置などを用いることで精密に石綿含有の状態を把握できます。分析には、石綿の有無を判断する定性分析と、含有量(%)を調べる定量分析の2種類があります。一般的に、分析工程が比較的シンプルな定性分析が広く採用されています。
事前調査と分析調査は「判断の段階」が異なります。事前調査は工事前の一次確認を目的とし、リスク調査の観点からも適切な対応方針を確認するためにあります。、分析調査は科学的根拠を用いる専門的手段の一つで、分析調査のみを単独で行った場合、実際には施工範囲外と想定していた箇所に石綿が含まれている可能性があります。。
また、事前調査および分析調査はいずれも、資格を有する者が関与することが求められています。調査や試料採取、分析の方法が適切でなければ結果の信頼性が確保できず、工事計画や法令対応に支障が生じる可能性があります。
アスベスト事前調査・分析調査が不要になるケース
アスベスト含有の可能性が明らかでない材料で構成されている場合は不要です。具体的には、木材、金属、ガラス、石など、性質上アスベストを含む可能性がない建材のみで構成されている部位に係る工事が該当します。この場合に限り、事前調査や分析調査は不要とされます。ただし、周囲に別の建材が存在し、作業によって損傷する可能性がある場合は、周辺建材についても調査が必要となります。
次に、建材にほとんど影響を及ぼさない軽微な作業です。釘を抜く、釘を打つといった作業のように、建材を破壊せず、粉じんが発生しないと考えられる場合には、事前調査が不要とされることがあります。一方で、電動工具による穿孔や切断など、わずかでも建材を損傷する作業が含まれる場合は、この条件には該当しません。
また、既存の建材を傷つけない工事も対象となります。既存塗膜の上から塗装を重ねる作業や、単に材料を追加する工事についてはアスベストが飛散する可能性がないため、事前調査を省略できる場合があります。ただし、高圧洗浄等を用いて下地を削る、塗膜を剥がす工程が含まれる場合は、不要とは判断できません。
さらに、2006年9月1日以降に着工された建築物については、書面調査の確認だけで済み、目視調査や分析調査を省略できる場合があります。ただし、解体作業対象の床面積の合計が80m²以上、もしくは請負金額が100万円以上の改修工事では、事前調査結果の報告義務が発生します。
なお、分析調査を実施せず建材をアスベスト含有とみなして工事を行う「みなし判定」を選択することも可能です。この場合、分析調査は不要となりますが、書面調査や目視調査、報告書の作成および届出が不要になるわけではありません。
アスベスト事前調査・分析調査の流れと注意点
最初に行われるのが書面調査です。設計図書、仕様書、建築年、過去の改修履歴などを確認し、アスベスト含有建材が使用されている可能性があるかを整理します。この段階で重要なのは、資料が不足している場合でも「不明=不要」と判断しないことです。メーカー資料や不含有証明を確認する行為自体も事前調査に該当し、その結果は記録・報告の対象となります。
次に実施されるのが目視調査です。資格を有する調査者が現地に赴き、書面情報と照合しながら建材の種類、施工状況、劣化状態を確認します。外観だけで判断せず、隠蔽部や複層構造にも注意を払う必要があります。特に、仕上塗材や下地材は見た目では判別できない場合が多く、慎重な確認が求められます。
書面調査および目視調査のみでアスベスト含有の有無を明確に判断できない場合には、分析調査へ進みます。分析調査では、対象建材から検体をサンプルとして採取し、専門の分析機関においてJIS規格に基づく定性分析、アスベストが有りと判定された場合は必要に応じて定量分析が行われます。ここで注意すべき点は、検体採取時においても飛散防止対策が必要であり、呼吸用保護具の着用や、湿潤化の実施が必要となります。調査の最終段階として、調査結果をまとめた報告書を作成します。この報告書には、調査方法、確認箇所、分析結果、アスベスト含有の有無などが整理され、建築物の解体等工事において床面積の合計が80m²以上の場合、または建築物・工作物の解体・改修工事の請負金額の合計が100万円以上(税込)の場合はの工事では行政への報告が必要となります。記載漏れや判断根拠の不明確な報告書は、後の是正指導や工事停止につながるおそれがあります。
アスベスト事前調査・分析調査の費用相場は?
アスベスト事前調査および分析調査にかかる費用は、主に「書面・目視調査費」「分析調査費」「報告書作成費」の三つで構成されます。建物の規模や調査対象となる建材の数、図面の有無などにより金額は変動するため、あくまで一般的な目安として把握することが重要です。
まず、書面調査および目視調査にかかる費用は、1案件あたりおおむね3万円から10万円程度とされています。建物の延床面積が大きい場合や、部屋数が多い場合、設計図書が不足している場合には、調査工数が増えるため費用が高くなる傾向があります。この段階では、設計図書や仕様書の確認に加え、有資格者による現地での目視確認が行われます。
次に、分析調査費用は検体数に応じて発生します。検体採取にかかる費用は、1検体あたり5,000円から2万円程度が目安です。これには安全対策費や採取後の簡易補修費が含まれることが多く、採取箇所の高さや作業環境の難易度によって変動します。採取した検体について行う定性分析は、1検体あたり12,000円から3万円程度が一般的です。納期短縮に伴う対応や分析機関の体制により価格差が生じる場合もあります。
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