アスベスト分析調査とは?定性分析と定量分析の違いや流れ、未実施の罰則まで徹底解説
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アスベスト分析調査とは?
アスベスト分析調査は、建材に繊維状の石綿が含まれているかを科学的に確認する工程であり、事前調査の結論を裏付ける役割を担います。
書面調査と目視調査による確認だけでは石綿含有の有無を判断できない場面が多く、分析調査を行うことで初めて客観的なデータが得られます。
分析調査では、建材の一部をサンプルとして採取し、JIS規格に基づく方法で含有の有無と含有率を確認します。解体や改修工事の計画を立てる際に、適切な飛散防止措置を判断するための重要な根拠となります。
分析調査は、初めにサンプルとして採取した試料に対して定性分析を行い、石綿が混入しているかを確認します。代表的な分析方法として偏光顕微鏡やX線回折装置を用いる手法があり、繊維の構造や結晶特性を検証し石綿の種類を特定します。
試料採取では、建材に均一性がないことを踏まえて、表層だけでなく内部の状態を考慮した位置選定が必要です。採取位置を誤ると分析精度が低下する恐れがあるため、石綿の使用実態や建材の構造を十分に理解した資格保有調査者による判断が欠かせません。
アスベスト分析調査の定性分析と定量分析の違い
定性分析とは?
定性分析は、採取した試料に石綿が含まれているかどうかを確認する手法です。偏光顕微鏡や位相差顕微鏡を使い、繊維の屈折性や形状の特徴から種類を判別します。
試料中のごく少量の繊維からでも判断できるため、事前調査で「含まれている可能性はあるが確証が得られない」場面で実施されます。
分析の結果、石綿が確認できなかった場合は、含有量の分析確認を行わないこともあります。コストと時間を抑えて概況を把握するのに適している点が特徴です。
定性分析とは?
これに対し、定量分析は石綿がどの程度含まれているかを測定する手法で、法的な規制判断に影響する数値を把握する目的で実施されます。分析にはX線回折装置や電子顕微鏡などが用いられ、試料全体に占める石綿の割合を重量比で算出します。
算出された含有率が0.1%を超える場合は法令に基づく規制対象となるため、解体工事の工法選定に直結します。特に断熱材や吹付材など、飛散性が高い建材では、定量分析の結果が安全対策を判断するための重要な根拠になります。
定性分析と定量分析の大きなちがい
両者の大きな違いは、「目的」と「求められる精度」にあります。定性分析はまず含有の有無を把握するための調査であり、迅速性が重視されます。
一方、定量分析は工事区分や飛散防止策を決定するための不可欠な工程であり、精度の高い測定が求められます。
定性分析だけで判断を進めた場合、過剰な対策が必要になる場合もあるため、改修・解体工事の計画段階では目的に応じて適切に組み合わせて実施することが重要です。
アスベスト分析調査の具体的な流れ
①事前調査
事前調査は書面調査の確認から始まり、設計図書や仕様書、記録類から建材の種類や施工年代を整理します。新築着工日が2006年9月1日以降であることが明確であれば、アスベストを使用していない可能性が高いと判断されます。
一方、年代や材料が不明な場合は、現地での目視調査が必要です。
②目視調査
目視調査では、図面と現場の状況を確認しながら施工箇所を広い範囲で確認します。建築材料の劣化による粉じん発生の可能性や、施工層の違いなども調査対象に含まれます。
書面調査と整合しない場合は、現場の状況を優先して判断します。この段階で石綿含有が推定できず、分析が必要と判断されれば、試料採取へ進みます。
③試料採取
試料採取では、施工箇所から少量の建材を切り取り、層の分布や材質を崩さないよう慎重に扱います。建材によっては複数箇所を採取する場合もあり、採取位置や状態を記録として残します。
④分析調査
採取した試料は専門機関へ送付し、定性分析または定量分析を実施します。一般的には石綿有無を判断する定性分析が中心ですが、含有率を確認する必要がある場合は定量分析も併用されます。
分析はJIS規格に基づいて進められ、受入確認の後、非アスベスト成分を除去する前処理が行われます。
灰化や酸処理、分散操作などを経て、偏光顕微鏡で繊維を同定します。層別の構造が確認できるため、建材のどの部分にアスベストが含まれているかも把握できます。
分析が完了すると、結果は報告書としてまとめられ、採取位置や建材名、分析方法などと併せて整理されます。
⑤報告書等の作成
依頼者は報告書の結果を基に、工事計画に必要な飛散防止策や届出の判断を行います。
建築物の解体等工事において床面積の合計が80m²以上の場合、または建築物・工作物の解体・改修工事の請負金額の合計が100万円以上(税込)に該当する工事では行政の電子報告システムによる届け出が求められるため、分析結果を石綿含有の判断根拠として示すことができます。
ちなみに…アスベスト分析調査の費用相場はどれくらい?💡
分析費用が変動しやすい理由は、現場状況に応じて採取箇所が増える場合や、建材の種類によって処理工程が異なることが挙げられます。
特に2006年9月1日以前に使用された建材では、同一部位であっても複数層から確認が必要になる場合があり、検体数が当初の想定より増える可能性があります。
試料採取のために足場の設置が必要となるケースや、現場が遠方にある場合は別途費用が生じることもあります。
定量分析は含有率を把握するための分析で、必要とされる場面は限られますが、実施する場合は1検体あたり3万円前後が目安となることがあります。
ただし、定性分析の結果から石綿含有が明らかであれば、法令上は定量分析を行わずに0.1%超とみなして扱うことも許容されています。
費用の内訳には、試料採取や報告書作成などの作業も含まれます。採取作業は建材の状態を保ちながら必要量を確保する必要があり、1箇所ごとに作業費が発生します。
報告書については、行政提出用の様式に沿った内容を求められる場合が多く、作成費が別途必要になることがあります。現場規模が大きくなるほど確認すべき部位が増え、書面調査や目視調査の工数も増えるため、結果として総額数十万円になるケースもあります。
アスベスト分析調査を実施しないリスクと罰則
調査を行わなかった場合のリスクの1つが、作業者や周辺住民へのばく露が挙げられます。石綿は微細な繊維で空気中に漂いやすく、一度吸い込むと健康への影響が長期化する可能性があります。
調査が不十分なまま建材を破砕した場合、石綿が飛散し、発注者や施工者が安全配慮義務を果たしていないと判断される可能性があります。また、工事中断や行政の是正指導が入ることで工期に影響が出る場合もあります。
法的な罰則についても注意が必要です。レベル1・2・3の除去作業において、隔離措置や作業計画の届出などの基準に違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される仕組みがあります。
さらに、特定粉じん排出等作業の届出を行わずに除去作業を実施した場合は、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用される可能性があります。これらは行政命令を待たず直接適用される罰則であり、調査を怠った結果として発生するリスクです。
調査や分析は2023年以降、有資格者のみが実施できる制度が整えられています。発注側が資格者の有無を確認しないまま工事を進めた場合、結果として無資格者による採取行為となり、発注者自身が違反に関与したと判断される可能性があります。
また、調査結果を提出しなかった場合や虚偽報告を行った場合も罰則対象となり、企業としての信用を失う恐れがあります。














