廃棄物処理法違反のリスクとは?罰則・事例・未遂の処罰までわかりやすく解説
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廃棄物処理法とは
廃棄物の適正処理を定める基本的な法律が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、いわゆる廃棄物処理法です。前身である「清掃法」を改訂する形で1970年に制定され、高度経済成長期に顕在化した不法投棄や処分場不足といった社会問題を背景に整備されました。この法律は、廃棄物の排出抑制やリサイクルの推進を通じて、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。
法律上、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大別されます。一般廃棄物は家庭ごみや事業系一般廃棄物で、市区町村が処理責任を負います。一方、産業廃棄物は事業活動に伴って生じる20種類の廃棄物(燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など)が対象で、排出事業者が自らの責任で適正に処理しなければなりません。さらに毒性や感染性をもつものは「特別管理産業廃棄物」として厳格な基準が設けられています。
排出事業者が処理を委託する場合には「産業廃棄物処理業の許可」を有する業者に依頼し、契約書を締結したうえでマニフェストを交付しなければなりません。マニフェスト制度は、廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかを確認・管理する仕組みであり、排出事業者の法令遵守を担保する重要な役割を果たします。電子マニフェストの導入も進んでおり、効率化と透明性の確保に繋がっています。
廃棄物処理法違反の罰則について
代表的な違反に対する罰則として、不法投棄や無許可営業が挙げられます。産業廃棄物を山林や海洋に投棄したり、自治体の許可を受けずに他者が排出した廃棄物の収集運搬や処分を行ったりした場合、「5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその併科」に処されます。加えて、違反者の所属する法人に対しても、3億円以下の罰金という重い処分が科されることもあります。さらに、違反が悪質であると判断された場合には、業務停止や許可取消といった行政処分も加わり、事業継続自体が困難になるリスクもあります。
また、委託基準違反にも注意が必要です。排出事業者は、廃棄物の処理を他者に委託する際、必ず許可を持つ処理業者と契約し、マニフェストを交付する義務があります。無許可業者に委託した場合、排出事業者も「5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金」の対象となります。委託先が不法投棄を行った場合でも、排出事業者の責任は免れず、処理完了までの監督義務が残ります。
さらに、マニフェストの虚偽記載や交付義務違反には「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科されます。こうした違反は軽微に見えても、繰り返されれば改善命令や行政指導の対象となり、最終的に刑事処分へと発展することもあります。廃棄物処理法違反を防ぐには、排出物の種類を正しく把握し、委託先の許可内容や処理方法を確認することが不可欠です。最新の法改正や自治体の指導基準にも注意を払い、社内教育を通じて担当者の意識を高めることが重要です。罰則は単なるペナルティではなく、環境保全と社会的責任を果たすための強いメッセージであることを理解し、適正処理を徹底していく姿勢が求められます。
廃棄物処理法違反の実際の事例
まず代表的なのが「不法投棄」です。廃棄物処理法が施行された後も、大規模な不法投棄事件が繰り返し発生しました。現在でも毎年100件程度の不法投棄事件が発覚しており、直近では、JV(共同企業体)が建設工事に伴う産業廃棄物を地中に埋めたとして書類送検を受けています。廃棄物処理法において最も重い罰則が科される重大な違反です。
次に「不法焼却」です。廃棄物を野外で燃やす行為は、廃棄物処理法で原則禁止されています。過去には木くずや金属くずを敷地内で焼却した企業が摘発されました。野外焼却はダイオキシンなどの有害物質を発生させ、人の健康や自然環境に深刻な被害を及ぼす可能性があるため、厳しく規制されています。
さらに「委託基準違反」です。ある自治体の職員が不要となった家具や家電を、無許可の業者に引き渡した事例がありました。排出事業者は、必ず許可を持つ処理業者に委託し、契約やマニフェストの交付を行わなければなりません。無許可業者への委託は排出事業者自身も罰則を受けるため、適正な許可の有無や契約手続きの確認は不可欠です。
加えて「産業廃棄物保管基準への違反」も見られます。例えば、建設工事に伴って発生した廃棄物を、基準を満たさない方法で保管した結果、行政から指導や調査を受けたケースが報告されています。排出事業者は、廃棄物を処理業者に引き渡すまでの間、飛散や流出が起きないように適切に保管しなければならず、これを怠ると生活環境の保全に支障をきたします。
廃棄物処理法違反は未遂でも処罰される可能性がある
すべての廃棄物はルールに基づいて処分しなければならず、違反した場合には重い罰則が科せられます。重要なのは、この法律では「未遂」であっても処罰の対象となる点です。
例えば、不法投棄を目的として廃棄物を山林や河川に運び込もうとしたが、実際には投棄する前に発覚した場合でも、廃棄物処理法違反の未遂として刑事責任を問われます。また、野外焼却においても、焼却の準備段階で違反が確認されれば処罰の対象となります。これらは廃棄物が環境や健康に深刻な被害を及ぼす恐れがあるため、未然に防止する観点から未遂段階でも厳しく取り締まられるのです。
実際に、過去には廃棄物を輸出しようとして環境大臣の確認を受けずに申告した企業が、輸出前に摘発され未遂であっても処分を受けた事例があります。こうしたケースは、行為が完了していなくても、社会的に大きなリスクを伴うものとして法的責任が問われることを示しています。
事業者にとって重要なのは、廃棄物処理法の対象が収集運搬業者や処分業者だけでなく、廃棄物を排出するすべての事業者に及ぶという点です。委託契約の不備や許可を持たない業者への委託といった段階でも違反が成立するため、日常業務の一つひとつに注意を払う必要があります。
違反を防ぐためには、まず最新の法改正や判例に基づく知識を持ち、適正な許可を得た業者に処理を委託することが不可欠です。また、マニフェストの交付や保存を徹底することが、透明性のある処理体制を支え、未遂を含む違反リスクの低減につながります。
廃棄物処理における注意点
まず重要なのは、処理責任は廃棄物を排出した事業者が負うという原則(=排出事業者責任)です。廃棄物処理法では、事業活動に伴って発生した産業廃棄物は排出事業者の責任において適正に処理しなければならないと定められています。処理業者に引き渡したからといって、排出事業者の責任が免除されるわけではありません。委託した処理業者が不法投棄などを行った場合にも、投棄された廃棄物の撤去や費用負担が排出事業者に対して求められます。適正な処理業者であるかの確認や、委託契約の内容確認、処理完了までのチェックを怠らないことが必要です。
次に、委託先業者の選定を慎重に行うことが欠かせません。無許可業者に処理を依頼すれば、不法投棄や環境汚染につながるだけでなく、排出事業者も「委託基準違反」として罰則を受けます。業者の許可証を確認し、取り扱う廃棄物の種類や処理方法が適法であるかを必ずチェックしましょう。
さらに、法令改正や最新情報の確認も重要です。廃棄物処理法はこれまで何度も改正されており、廃棄物の区分や処理方法に変更が加えられることがあります。古い知識のまま処理を続けると、知らぬ間に違反に該当するケースもあります。定期的に環境省や自治体の公開情報を確認し、最新ルールを把握しておくことがリスク回避につながります。
廃棄物処理は「委託して終わり」ではなく、マニフェストによる管理・記録・保存が求められます。収集運搬から中間処理、最終処分に至るまでの流れをきちんと管理し、保存義務を守ることが適正処理の証明になります。
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担当者が書面やExcelで管理している場合、確認漏れや更新忘れが発生しやすく、意図せず法令違反に該当してしまうケースも少なくありません。
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