アスベスト分析マニュアル第2版とは?改訂ポイント・分析方法・実務上の注意点を解説
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アスベスト分析マニュアル第2版とは?作成の背景
アスベスト分析マニュアル第2版とは、石綿障害予防規則に基づく事前調査において、建材中のアスベストの有無を適切に分析するための指針として策定された技術的資料です。令和3年度の厚生労働省委託事業により、従来の1.20版を見直す形で作成され、法令改正や最新の分析規格を反映した内容となっています。
改訂の背景には、石綿障害予防規則の改正により、事前調査や分析調査に関する要件が明確化されたことがあります。特に、建築物や工作物の解体・改修時におけるアスベスト調査について、分析調査を行う者の知識や技能が重視されるようになり、分析方法の統一と精度確保が求められるようになりました。これを受け、第2版ではJIS A 1481-5の制定内容を踏まえ、既存のJIS A 1481規格群とマニュアルとの対応関係が整理されています。
本マニュアルでは、アスベストを0.1%を超えて含有するか否かを判断することを目的に、定性分析と定量分析の双方について具体的な方法が示されています。実体顕微鏡や偏光顕微鏡、X線回折分析による手法に加え、光学顕微鏡で判別が難しい場合に用いる電子顕微鏡による確認方法についても整理されています。ただし、JIS規格と完全に同一ではない点もあるため、使用時には目的に応じた理解が必要とされています。
また、第2版では、過去の規制基準や分析対象の限定により誤った判断が行われた事例を踏まえ、現在の規制対象となる全てのアスベストの種類を前提とした分析の重要性にも触れられています。今後、新たな知見や分析技術が確立された場合には、内容の見直しが行われることを前提とした位置づけであり、分析調査者の継続的な技術向上を支える資料といえます。
アスベスト分析マニュアル第2版の主な改訂ポイント
改訂の大きなポイントの一つは、JIS A 1481-5の制定を受け、分析方法とJIS規格群との対応関係を明確にした点です。これにより、定性分析と定量分析の位置づけや使い分けが整理され、分析調査者が適切な手法を選択しやすくなっています。定性分析については、偏光顕微鏡法やX線回折分析法に加え、光学顕微鏡で確認が難しい場合に電子顕微鏡を用いる方法が整理されました。
また、アスベスト含有率の基準が重量比で0.1%を超えるか否かで判断される点を前提に、過去の1%基準時代の分析結果をそのまま用いることの危険性についても注意が促されています。対象となる石綿の種類についても、従来主要とされていた3種類(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト)に限らず、アンソフィライトやトレモライトなども含めて確認する必要性が示されています。
さらに、分析精度を確保するため、JIS規格に沿いつつも、分析マニュアル独自の留意点や補足が追加されています。分析方法を形式的に適用するのではなく、試料の特性や状況に応じて複数の方法を組み合わせる姿勢が重要であることが明示されている点も、第2版の特徴といえます。
アスベスト分析マニュアル第2版で示されている分析方法
アスベスト分析マニュアル第2版は、石綿障害予防規則に基づく事前調査において、アスベストの有無を適切に判断するための技術的指針として作成されたものです。令和3年度の厚生労働省委託事業における検討会で、従来の1.20版を見直す形で改訂されました。
作成の背景には、石綿に関する法規制や分析技術の変化があります。石綿障害予防規則の改正により、事前調査を行う者や分析調査を実施する者の要件が明確化され、一定の知識や技能を有する者が分析を行うことが求められるようになりました。これに対応し、分析調査者に必要な情報や実務上の考え方を体系的に整理する必要性が高まったことが、マニュアル改訂の一因とされています。
また、建材中のアスベスト分析については、JIS A 1481規格群が整備され、分析手法が複数存在する状況となっています。そのため、事前調査の目的に即した分析方法を選択できるよう、JIS規格とマニュアルとの関係性を整理することが求められました。第2版では、定性的な判定方法と定量的な測定方法の役割を明確にし、分析結果の解釈に関する注意点も補足されています。
このマニュアルは、すべての操作手順を一から説明するものではなく、基礎的な知識や訓練を前提とした内容で構成されています。そのうえで、分析精度の確保や誤判定防止を目的として、今後の技術進展に応じて継続的に改訂されることが想定されています。
アスベスト分析マニュアル第2版に基づく分析結果報告書の考え方
第2版では、JIS規格に準拠した分析手法の整理が進み、報告書にも分析方法や判定根拠を明確に記載することが求められています。具体的には、検体の採取日や採取箇所、分析に用いた規格、確認された石綿の種類や判定結果などを、第三者が見ても理解できる形で示すことが重要とされています。これにより、行政への報告や保存義務への対応だけでなく、元請業者や施主への説明資料としても活用しやすくなります。
また、報告書は工事計画と密接に関係しています。分析結果により石綿含有が確認された場合は、レベル区分に応じた除去工法や保護具の選定が必要となり、逆に含有が認められない場合でも、その判断過程を示す記録が残されていなければ、後の確認や監査で問題となる可能性があります。そのため、結果だけでなく、どのような手順で結論に至ったかを示す構成が求められます。
さらに、報告書の品質はリスク管理の観点でも重要です。不十分な記載や不明瞭な表現は、工事中断や再調査につながるおそれがあります。分析マニュアル第2版の考え方では、形式的な様式よりも、必要な情報が過不足なく整理されているかが重視されています。
アスベスト分析結果報告書は、法令対応に不可欠な資料であると同時に、安全な工事を支える基盤資料でもあります。分析マニュアル第2版の趣旨を理解し、内容の正確性と分かりやすさを意識した報告書を作成・確認することが、円滑な工事と将来的なリスク低減につながります。
アスベスト分析マニュアル第2版を踏まえて依頼時に注意すべき点
まず注意すべき点は、分析方法がJIS規格に基づいているかどうかです。第2版では、定性分析と定量分析の役割が整理されており、依頼時には「何を確認したい分析なのか」を明確に伝えることが求められます。目的が不明確なまま依頼すると、結果の解釈や工事対応に迷いが生じるおそれがあります。
次に、検体採取の扱いです。検体の採取は分析結果の信頼性を左右する重要な工程であり、採取位置や層構成を考慮せずに行うと、実態と異なる結果につながる可能性があります。分析機関に任せきりにせず、どの建材のどの部分を採取するのかを事前に整理しておくことが望ましいです。
また、報告書の内容確認も欠かせません。分析結果報告書には、分析方法、判定結果、検体情報など、法令上求められる事項が過不足なく記載されている必要があります。記載内容が不十分な場合、行政報告や保存義務の場面で問題となる可能性があります。
費用面についても注意が必要です。分析費用だけでなく、検体採取費や報告書作成費が含まれているかを事前に確認し、後から追加費用が発生しないかを把握しておくことが重要です。安さのみで判断すると、必要な工程が省略されるリスクも否定できません。
アスベスト分析は単なる確認作業ではなく、安全確保と法令遵守の根拠となる重要な工程です。マニュアル第2版の趣旨を踏まえ、分析内容・報告書・費用のバランスを確認したうえで依頼することが、工事を円滑に進めるための基本となります。














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