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厚生労働省及び環境省が定める特定工作物とは?対象となる施設・手続き・注意点をわかりやすく解説 

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厚生労働省及び環境省が定める特定工作物とは何か 

厚生労働省及び環境省が定める特定工作物とは、石綿障害予防規則並びに大気汚染防止法に基づき、石綿が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣及び環境大臣が指定した工作物を指します。

これらは、建築物船舶と同様に、解体や改修を行う際に有資格者による石綿事前調査の実施が求められる対象です。
特定工作物の制度は、解体等作業における石綿ばく露の防止を目的として位置づけられています。

なお、特定工作物以外の工作物の解体等作業においても、有資格者は不要となりますが石綿の事前調査が必要であることは変わりありません。

特定工作物の施設や設備の種類

特定工作物に該当する設備には、反応槽、加熱炉、ボイラーおよび圧力容器、建築物に設ける給水・排水・空調等の建築設備を除いた配管設備、
焼却設備、煙突、穀物用を除く貯蔵設備、太陽光発電設備および風力発電設備を除く発電設備、変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)などがあります。

さらに、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛土保護パネル、鉄道駅の地下式構造部分の壁および天井板、建築物に該当しない観光用エレベーターの昇降路の囲いも特定工作物に含まれます。

これらの設備は、用途や構造によって石綿が使用されていた部位や劣化の進み方が異なります。

たとえば、反応槽加熱炉のように高温環境で使用される設備では、外装材よりも内部の断熱層や耐熱層が複雑な構成となっている場合があります。
施工当時の仕様によっては、複数の断熱材が層状に施工されていることもあり、外観の状態だけで石綿使用の有無を判断することはできません
そのため、設計図書や仕様書と現状を照合し、確認可能な範囲で構成材を把握することが重要です。

ボイラー圧力容器では、保温材だけでなく、フランジ部継手周辺に使用されていたガスケットパッキン類が調査上の留意点となります。
これらの部材は耐熱性や耐圧性を確保する目的で石綿が使用されていた時期があり、部品単位での確認が必要になる場合があります。

配管設備については、配管全体を一様に評価するのではなく、保温材の更新履歴や補修履歴に着目することが重要です。
部分的な改修が行われている場合、同一の配管系統内であっても施工年代の異なる材料が混在していることがあり、区間ごとに使用材料を整理する必要があります。

焼却設備煙突のように耐火性が重視される設備では、内部のライニング材や内張り材が調査対象となります。
これらは外部から確認できない場合が多く、点検口の位置やアクセス方法を事前に整理したうえで、調査範囲を明確にすることが調査精度に影響します。

貯蔵設備においても、温度変化や使用環境によって内張り材の劣化状況が部位ごとに異なるため、劣化の進行度を踏まえた確認が求められます。 

特定工作物の解体や改修に必要な手続きと届出

まず、請負金額100万円以上の工事において、特定工作物の石綿使用有無を確認した事前調査結果については、アスベスト含有の有無にかかわらず、調査結果の提出が求められます

これはレベル1からレベル3まで共通で必要となる手続きで、原則として石綿事前調査結果報告システムを利用した電子申請により行います。
電子申請後、自治体から図面や写真などの補足資料を求められるケースもあり、資料が不足していると差し戻しとなる場合があります。そのため、余裕を持った準備と提出が望まれます。

次に、レベル1およびレベル2に該当する建材を除去する場合には、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出が必要です。
この届出では、作業場所、作業期間、対象建材、飛散防止対策の内容などを具体的に記載します。届出先は管轄自治体等となり、提出期限は原則として工事開始の14日前です。

自治体ごとに様式や添付資料の求め方が異なることがあり、作業区画の範囲図、負圧管理や換気方法、湿潤化の工程などが十分に整理されていないと受理されないことがあります。
また、届出内容実際の作業内容が一致していない場合、工法変更時に再届出が必要になる点にも注意が必要です。

労働安全衛生の観点からは、建設工事計画届の提出が求められます。
これはレベル1およびレベル2の工事が対象で、労働基準監督署へ工事開始の14日前までに提出します。
内容は作業方法や安全対策が中心となり、機械設備の撤去や狭い空間での作業を伴う場合には、追加の安全措置について指摘を受けることもあります。
書類作成を専門業者に任せる場合でも、元請業者自身も内容を把握しておかないと、監督署からの問い合わせに対応できない可能性があります。

加えて、コンクリートや木材などの特定建設資材を扱う解体工事では、建設リサイクル法に基づく届出が必要になります。
対象となる工事規模に応じて、工事開始の7日前までに自治体へ提出します。特定工作物の解体では、同一現場で複数の届出期限が重なることが多いため、
工程表に届出スケジュールを組み込んで管理することが、書類漏れや手続き遅延の防止につながります。

特定工作物を扱う際の実務上のポイント

2026年1月から義務化された「工作物石綿事前調査者」制度では、反応槽や加熱炉、ボイラー、配管設備など、建築物とは異なる構造を持つ工作物について、専門的な知識を前提とした調査が求められます。

制度上は有資格者であっても、これまで建築物中心の調査経験に偏っている場合、設備内部付属部材に対する判断が十分でないケースがあります。
特定工作物は外観から確認できる範囲が限られており、内部に多層構造の断熱材や耐火材が使用されている事例も少なくありません。
そのため、工作物の石綿事前調査においては、建築物以上に型番等の確認とメーカーへの照会がポイントになります。
設置年代、メーカー仕様書、過去の更新・補修工事の履歴などを照合しながら、石綿含有の可能性がある部位を段階的に整理していくことが重要です。

調査結果の記録についても、単に石綿の有無を記載するだけでは実務上十分とはいえません。
どの資料を根拠に調査範囲を確定したのかどの部位を対象外と判断したのかといった判断過程を記録として残しておくことで、後続の届出施工計画との整合性を保ちやすくなります。
工法変更や追加調査が生じた場合には、こうした記録が説明資料として重要な役割を果たします。

工場やプラントのように複数の設備が並ぶ現場では、建築物として扱う範囲と特定工作物に該当する範囲の境界が曖昧になりやすい点にも注意が必要です。
配管やダクトのように、建築物内部から屋外設備へ連続する系統では、区分を誤ることで必要な資格や届出区分が変わる可能性があります。
設備単体ではなく、系統単位で構成を整理し、どこまでが特定工作物に該当するのかを図面上で明確にしておくことが、現場での混乱防止につながります。

また、調査で見落とされやすいのが、ガスケット、パッキン類といったシール材や絶縁紙、塗料などです。
大型設備に注意が向きやすい一方で、配管の継手やフランジ周辺には、耐熱性を目的として石綿含有のシート材が使用されていた事例が多くあります。
また、一部の送配電ケーブルには石綿含有の絶縁紙が使用されている場合もあります。これらは外観だけでの判別が難しく、劣化が進行している場合には微細な粉じんが発生するおそれもあります。
そのため、型式情報や使用年代からの推定を行い、必要に応じて部分的なサンプリングを追加するなど、慎重な判断が求められます。

特定工作物に関するよくある質問と注意点

特定工作物に関して寄せられる質問の多くは、「建築物と工作物の境界はどこか」「それぞれの特定工作物についてもっと具体的な定義はあるのか」という点です。
厚生労働省の通知においては、建築物と工作物の定義について以下の通り記載しています。

  • (ア)「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しく は電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の 設備等の建築設備を含むものであること。
  • (イ)「工作物」とは、(ア)の建築物以外のものであって、土地、建築 物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てを いい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、
    化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、 エレベーター、エスカレータ-等又は製造若しくは発電等に関連する 反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する 配管等の設備等があること。 

現時点では、上記以外に建築物、工作物の定義を定めたものはありません。建築物と工作物の定義の境界にはどうしても曖昧性が生じるため、
特に特定工作物の工事を行う事業者であれば、建築物・工作物の両方の資格者を配置しておくことがお勧めです。

また、それぞれの特定工作物の定義についても現時点においては不明確な定義が多いと言えます。例
えば、特定工作物である「貯蔵設備」で考えると、ガスの球形タンクのようなものから、業務用の冷凍倉庫、農業用倉庫など様々な施設が「貯蔵設備」として考えられます。
これらの詳細は法令に記載されておらず、また現時点では必ずしも詳細に決まっていない部分もあります。
参考として、厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」に記載されている、「工作物石綿事前調査者講習標準テキスト」にはより具体的な定義等が記載されているので、確認することがお勧めです。

 

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