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アスベスト含有廃棄物の処分費の相場と削減対策|元請業者が知るべき安全処理とコスト管理

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アスベスト含有廃棄物の処分費が発生する理由と法的背景

アスベスト含有廃棄物は、通常の産業廃棄物とは異なり、人体に対して深刻な健康被害をもたらす有害物質として、厳格な法的管理の下に扱われています。

アスベスト繊維を含む建材を解体や改修により除去した場合、その廃棄物は「石綿含有産業廃棄物(普通産業廃棄物)」または「廃石綿等(特別管理産業廃棄物)」として分類され、廃棄物処理法に基づく処理が義務づけられています。

廃棄物処理法において、建設工事に伴って生じる廃棄物は、工事の元請業者が「排出事業者」として適正に処理する責任を負うと定められています。

アスベスト含有廃棄物は、粉じんを吸入することで健康被害を生じる危険性があるため、平成18年10月の廃棄物処理法改正により、原則として破砕等の中間処理が禁止されています。
そのため、密閉容器または専用の袋に封入・ラベル表示を行うなど飛散防止措置を施したうえで、都道府県が許可した最終処分場に直接運搬し、埋立処分する必要があります。

排出事業者自ら処理を行うのではなく、別の業者に処理を委託する場合には、収集運搬業者・処分業者共にアスベスト含有廃棄物に関する適正な処理業許可が必要です。

また、アスベスト含有産廃物のうち「廃石綿等」に分類される廃棄物は「特別管理産業廃棄物」にあたり、その取扱いには「特別管理産業廃棄物処理業」の許可が必要となります。
こうした安全措置および法令遵守のための対応が必要なことから、アスベスト含有廃棄物の処分には高額な費用が発生します。

加えて、排出事業者が別の業者に処理を委託する際にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が義務付けられており、アスベスト含有廃棄物の発生から最終処分までを適正に管理する必要があります。

紙マニフェスト伝票は排出事業者(元請業者)、収集運搬業者、処分業者の間で適正に取り扱い、交付・回付から5年間保管しなければなりません。
これに違反した場合、罰則(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)や勧告社名公表等の行政処分の対象となることもあるため、管理の徹底が求められます。

また、最終処分場の数が限られており、遠方への運搬が必要になるケースでは、運搬費や保管費が追加で発生することもあります。
こうした複数のコスト要因が重なることで、アスベスト含有廃棄物の処分費はアスベストを含まない産業廃棄物よりも高額になるのが現状です。
元請業者は、コスト面にも配慮しつつ安全性と法令遵守を両立させなければならないのです。

建材ごとのアスベスト処理単価と積算のポイント

アスベスト含有廃棄物の処理費用は、建材の種類やアスベスト含有建材のレベル分け、施工面積などの要素によって大きく異なります。

たとえば、吹付け材や保温材といった飛散性の高いレベル1・2建材が廃棄物となった場合は「特別管理産業廃棄物」としての処理が必要なため、処理費用が高額になりがちです。
これに対し、スレートやPタイルなど比較的飛散性の低いレベル3建材が廃棄物となった場合は(普通)産業廃棄物に区分されるため、レベル1・2と比較して処理費用が抑えられる傾向にあります。

処理費は一般的に、廃棄物の重量単位(kgまたはt)あるいは容積単位(m3)で積算されます。

加えて、解体対象の建物が高所にある場合や、搬出経路が制限されている現場では、人件費や時間が余分にかかることが多く、これも最終的な処理費に反映される可能性があります。
したがって、元請業者としては、現場の実態を踏まえた正確な積算が求められます。

さらに注意すべき点として、処分場までの距離や立地条件によっても運搬費は変動し、都心部や離島などではコストがさらに増加する傾向があります。
よって、元請業者は単に建材の種類や数量だけで判断するのではなく、現場環境や運搬条件等を総合的に見積もりに反映することが重要です。

信頼できる処理業者と連携し、詳細な費用内訳を確認することが、適正な積算と予算管理につながります。

アスベスト含有廃棄物の処分の見積もり書をチェックする際の注意点

アスベスト含有廃棄物の処理費に関する見積もり書を確認する際は、いくつかの注意点があります。

まず、処理業者が石綿含有産業廃棄物や廃石綿等を取り扱うことができる処理業許可を保有しているかを確認し、有効期限が切れていないことや、委託する品目の許可を有していることを見極めます。

次に、見積書において処理単価がどのように設定されているかに注目し、重量単位または容積単位で積算されているか、資材や運搬費などの諸経費が内訳として明確に示されているかを確認します。
不明瞭な記載や一式表記だけで終わっている場合は、内容を業者に問い合わせ、詳細の説明を求めることが望まれます。

元請業者としては、法令違反や不適正処理が起こらないよう、見積もり段階からの確認と管理が欠かせません。

アスベスト含有廃棄物の処分費を安くするコツ

アスベスト含有廃棄物の処理費は、現場ごとの工夫や事前の準備により、ある程度の削減が可能です。

まず、正確な事前調査により、アスベスト含有建材の範囲と量を的確に把握することで、不要な範囲の除去や過剰な安全措置を避け、無駄なコストを防ぐことができます。

また、事前調査の際にみなしではなく分析調査まで行うことも有効です。
分析調査で石綿無しと結果が出た場合は通常の産業廃棄物としての処理となるため、アスベスト含有廃棄物の処理費と比べて費用を抑えることができます

さらに、複数の処理業者から相見積もりを取り、単価や対応内容を比較検討することがコスト削減に有効です。
ただし、極端に安価な業者は不適正処理やずさんな処理体制のリスクがあるため、業者の信頼性を確認することが大前提です。

加えて、多くの自治体ではアスベスト除去や処理に関する助成制度を設けており、条件を満たせば費用の一部を補助してもらえるケースもあります。
こうした公的支援制度を活用することで、施主にとっても金銭的な負担を軽減でき、結果として工事受注にもつながりやすくなります。


アスベストの違法処理による行政処分と罰則

アスベスト含有廃棄物を適切に処理しなかった場合、重大な法令違反とみなされ、行政処分や罰則の対象となります。
廃棄物処理法に違反した場合、最大で5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金もしくはその両方が違反者個人に、最大3億円の罰金が違反者の所属法人に科せられます。

また、不法投棄や無許可業者への委託、処理委託契約の不備、マニフェストの不備などの違法行為が発覚した場合、
社会的信用を大きく損なうとともに、罰則や行政処分等の法的責任のみならず、訴訟や損害賠償といった民事責任も生じることがあります。

現場単位の対応だけでなく、関与するすべての業者に対するコンプライアンス教育や契約内容の明確化、管理体制の構築が不可欠です。

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