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クロス(壁紙)にアスベストは含まれる?健康リスクや除去手順・法令を徹底解説

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アスベストの基礎知識とクロスの特徴

アスベストは、その繊維を吸入することで肺がんや中皮腫、石綿肺といった重大な健康被害を引き起こすことが報告され、2006年以降は日本国内で製造・輸入・使用が全面的に禁止されています。住宅の内装で多用されるクロスについては、一般的なビニールクロスには通常はアスベストが含まれていません。

ただし注意が必要なのは、クロスそのものだけではなく下地材や接着剤です。特に1980年代以前に施工された建物では、石膏ボードやパテなどの仕上げ材にアスベストが混入していたケースが確認されています。さらに一部では、不燃性を高める目的でクロス自体にアスベスト繊維が含まれていた製品も存在しました。

このため、クロスの張り替えや撤去といった軽微な工事であっても、建材にアスベストが含まれていないかを事前に調査することが重要です。調査は「建築物石綿含有建材調査者」といった資格を有する専門家が行うことが定められており、築年数の古い建物では特に慎重な確認が求められます。

アスベストは目に見えない微細な繊維として空気中に飛散しやすく、工事の際に下地を削ったり壊したりすることで曝露リスクが高まります。したがって、飛散防止措置を講じずに作業を行うことは極めて危険です。

法的にも「大気汚染防止法」や「労働安全衛生法」により、アスベストを含む建材を撤去する場合には届出や作業基準が厳格に定められています。違反すれば罰則が科されるため、クロス張り替えのような小規模な工事であっても、対象建物の築年や資材の確認は欠かせません。

つまり、クロス自体には通常はアスベストが含まれている可能性は高くないものの、下地材や関連資材を通じて潜在的なリスクが残されているのが現実です。さらに、時にはクロス自体にアスベストが含まれている場合があります。安全にリフォームを行うためには、専門家による調査と法令に基づいた対応が不可欠であり、事前の確認が住まいを守る第一歩となります。

クロスにアスベストが含まれる可能性とは?

住宅やオフィスの内装で使用されるクロスは、デザイン性に加えて、防汚性や防火性が求められる建材です。現在流通しているビニールクロスや織物クロスにはアスベストは含まれていませんが、注意すべきは過去に施工された建物です。

特に2006年9月1日の全面禁止以前に着工された建物では、クロスそのものや施工時に使われた副資材にアスベストが含まれている可能性があります。実際にクロス自体へアスベストが混入された事例として知られているのが「石綿含有壁紙」です。これは1969年に製造が始まり、1991年まで生産されていました。当時は「アスベスト壁紙」や「不燃クロス」と呼ばれ、アスベスト紙にビニルフィルムを重ねることで不燃認定を取得したものもあります。

住宅の台所やユーティリティのほか、ビルの階段や通路、エレベーターホールなど防火性が求められる空間で広く利用されました。この石綿含有クロスは、厚みを持たせることで表面加工が可能で、汚れにも強く、修繕や張替えが容易である点から経済性も評価されていました。

しかし、その下層部分にアスベスト原紙が使われていたため、目視だけで判別することは困難です。施工当時の設計図書や仕様書に「不燃壁紙」「無機質壁紙」といった記載があれば、アスベストが含まれている可能性があります。また、一部には不燃認定ラベルが貼られていた事例もあります。

クロス張替えやリフォームを行う際には、下地材やパテといった副資材も含め、アスベストの有無を確認することが不可欠です。表面のフィルムで覆われているため通常の生活で飛散する危険は少ないものの、撤去や破損時には微細な繊維が空気中に舞い上がる恐れがあります。吸入すると数十年後に中皮腫や肺がんといった健康被害をもたらすことがあるため、調査と安全管理は必須です。

現代のクロスにアスベストが含まれることはほとんどありませんが、築年数の古い建物では依然としてリスクが残されています。安心してリフォームを進めるためには、「建築物石綿含有建材調査者」といった専門資格を持つ調査員による事前確認を行い、必要に応じて法令に沿った除去や飛散防止措置を実施することが重要です。

アスベスト含有クロスの健康リスク

問題は、これらのアスベストが通常の状態では大きな健康被害を及ぼすことは少ないものの、クロスの張り替えや撤去作業の際に繊維が飛散するリスクがある点です。アスベストの繊維は非常に微細で、空気中に舞い上がると長時間浮遊しやすく、吸引することで肺の奥深くに入り込みます。

その結果、長期間の潜伏期間を経て、中皮腫、肺がん、アスベスト肺などの重篤な疾患を引き起こすことがあります。こうした健康リスクは、アスベスト含有の可能性を認識せずに作業を行った場合、施工業者や居住者、周辺住民等に健康被害の影響が及ぶ恐れがあります。

また、アスベストは一度体内に取り込まれると自然に排出されにくいため、少量でも繰り返し吸入することで蓄積し、発症リスクが高まるとされています。特に家庭内でクロスのリフォームを検討している場合、建物の築年数を確認し、必要に応じて専門業者に調査を依頼することが望ましいでしょう。

健康被害の予防には、アスベストを含有する可能性のあるクロス周辺の材料を不用意に破壊・粉砕しないことが重要です。事前調査を怠ると、法令違反だけでなく、家族や作業者の健康を損なう結果にもつながります。安全なリフォームを行うには、アスベストのリスクを正しく理解し、適切な対処を講じることが不可欠です。

アスベスト含有クロスの安全な取り扱いと除去手順

アスベストを含有する可能性のあるクロスやその下地材を安全に取り扱うことは、健康被害を防ぐために非常に重要です。アスベストは微細な繊維が空気中に飛散すると吸引による深刻な疾患リスクを伴うため、除去作業は専門知識と適切な装備が必須となります。一般の方が安易にクロスを剥がしたり削ったりすることは避けるべきです。

まず、安全な取り扱いの基本は、作業前に専門の有資格者による事前調査を行うことです。これにより、クロスにアスベストが含まれているかどうかを確認し、飛散リスクの有無を評価します。調査の結果、アスベストが含まれている場合は、労働安全衛生法など関連法令に基づいた適切な除去手順を遵守しなければなりません。

除去作業では、クロスの剥離や撤去の際に粉じんが発生しないよう、湿潤化が重要です。湿らせることでアスベスト繊維の飛散を抑制できます。また、作業区域をビニールシートなどで隔離し、関係者以外立ち入り禁止とすることも求められますさらに、作業者は防塵マスクを着用し、アスベスト繊維の吸引を防ぎます。撤去したクロスや廃材は厳重に密封し、指定の廃棄物処理施設に運搬・処分しなければなりません。これらの措置を怠ると、周囲の人々や環境に対して大きな健康被害や法的問題を引き起こす恐れがあります。

総じて、アスベスト含有クロスの安全な取り扱いは、正しい知識と法令順守、そして専門的な技術が不可欠です。これにより、作業者だけでなく周辺環境や居住者の安全を守ることができます。安全なリフォームや解体作業を進めるために、アスベストに関する適切な対応が必要になります。

アスベスト含有クロスの廃棄に関する法律と報告義務

元請業者がクロスの張り替えや解体工事を行う際、対象の建材にアスベストが含まれている場合は、通常の廃材処理とは異なる厳格な手続きが求められます。アスベストは微細な繊維が飛散すると人体に深刻な健康被害を及ぼすため、関連する法律の規制下で処分を行う必要があります。

まず、アスベスト含有クロスは「石綿含有産業廃棄物」に区分され、吹付材や断熱材などレベル1・2建材であれば「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に指定されます。このため、収集運搬や処分は石綿対応の許可を持つ業者に依頼しなければならず、無許可処理は法令違反として罰則の対象になります。さらに、元請業者は一定規模以上の工事を行う場合、事前調査を実施し、その結果を行政に報告する義務があります。加えて、レベル1・2の建材を扱う際には、大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づき、作業計画届や特定粉じん排出等作業実施届を工事の14日前までに提出しなければなりません。これらは飛散防止や周辺環境の安全を確保するための重要な手続きです。

工事中の作業についても、湿潤化や密封処理を徹底し、防じんマスクなどの保護具を作業従事者が着用することが義務付けられています。また、廃棄物処理の過程では「マニフェスト制度」を用い、排出から最終処分までの流れを追跡し、適正に処理されたことを確認する必要があります。元請業者にとって、こうした法律や報告義務を正しく理解し遵守することは、行政処分や罰則を回避するだけでなく、発注者や周辺住民に安心を提供するうえでも欠かせません。

アスベスト対応を効率化するには、書類作成や報告業務を支援する仕組みを活用することが有効です。アスベスト関連工事を行う際には、専門知識を持った下請業者や分析機関と連携し、安全かつ適正な処理を徹底することが重要です。

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