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行政指導のターゲットは?アスベストの最新違反事例と指導・摘発の実態

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石綿(アスベスト)の法規制に関しては、年々強化され続けています。
その背景として、2021年5月の建設アスベスト訴訟において国が敗訴(参考記事:厚生労働省)したことや、石綿による疾病で、現在でも年間1,000件前後で保険給付が決定(労災保険法に基づく)されている事実があります。

実際に解体・改修工事を行う事業者の方の中には、そこまで法規制が強化されている実感が無い方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実は現在、すでに労働基準監督署を始めとする行政は、動き始めています。

今回は、そんな石綿(アスベスト)の実際にあった違反や書類送検事例と、指導・摘発の実態を解説していきます。

ピークを迎える、石綿使用建築物の解体棟数

石綿が使用されている建築物の解体棟数は、これからピークを迎えます。

国土交通省の推計によれば、吹付けアスベスト等を含む建築材料を使用している可能性がある鉄骨造・鉄筋コンクリート造の民間建築物の解体工事件数は、今後増加し2028年頃にピークを迎えるとされており、その数は2009年の約2倍と推計されています。


(引用:厚生労働省 5-1今後の解体等工事件数の増加について

行政から事業者への具体的な指導内容が、明らかに

2020年の石綿関連法の改正は、2021年から順次施行されています。
中でも、2022年4月から事前調査結果の報告義務がスタートしたことによって、行政から事業者への直接的な指導が行われるようになり、「具体的にどのような指導は行われているのか?」その内容が明らかになってきました。

この図は、行政からの指導の内容を示したものです。報告対象である解体:80㎡以上、改修:100万円以上の工事に対して、石綿あり/みなしと報告したものについては、飛散防止対策は十分かの確認があり、立ち入り調査を実施する事例も出ています。

石綿なしと報告したものについては、どのような調査で石綿なしと判断したか、担当者へ聞き取り調査し、その調査・判断が適切でないと、みなすか分析をしなければならないと指導された事例もあります。

全く報告していない事業者については、石綿の事前調査していないと判断され、指導されています。

積極的に指導対象になる事業者の条件は決まっている

厚労省通知「石綿ばく露防止対策の推進について」(令和4年1月13日)には、報告していない事業者を特定し、(リフォーム団体の事業者リストも含め)積極的に指導することと記載されています。

さらに、通知に基づき、行政側はリフォーム業者・解体事業者をリストアップし、報告制度が始まっても報告していない事業者について、指導していると考えられます。

指導のターゲットとなる工事とは?

規制強化指導のターゲットは石綿事前調査の対象となる工事であり、規模の裾切りはリストアップの手段です。

一番の目的は、石綿除去等作業での飛散・ばく露防止対策と言えるでしょう。

すでに労働基準監督署は動き出している

労働基準監督署をはじめとする行政は、すでに動き出しています。
2022年7月には東京労働局が、8月には大阪労働局が、いずれも石綿の使用の有無を調査しなかったとして、送検事例を公表しています。

また最新の実例として、2022年12月に大阪労働局が新たに書類送検を公表しました。公表によると、今回の送検事例は「通報」がきっかけだった、という事です。

起訴対象は会社だけでなく責任者にまで及ぶ

書類送検の発表では、社名が公表されます。また、起訴されるのは「会社」および「石綿管理を行う責任者」となっており、書類送検をされた3社とも、起訴対象は会社と責任者の両方となっています。

今回、改正の対象となった石綿関連法令の管轄の1つである労働基準監督署は、労働関係の法令違反に対して行政上の権限だけでなく、司法警察員の権限も有しています。
どういう事かと言うと、労働基準監督官には、捜査、逮捕(現行犯逮捕・緊急逮捕・令状逮捕)、逮捕の際の令状によらない差押え・捜査・検証及び令状による差押え・捜査・検証等の権限があり、また、送検も行うことが可能で、警察官と同じレベルの権限を与えられている数少ない機関となります。

まとめ|発注者、元請業者、下請業者等、それぞれの立場で規制強化に対応すべし

周辺住民、従業員、作業員からの通報がきっかけとなって、立入調査が実施される場合もあります。そのため、発注者、元請業者、下請業者等、それぞれの立場で規制強化に対応していく必要があります。

そのためにも、解体・改修に関わる事業者は、石綿に関する知識をしっかりとつけて、自分自身と会社を守っていく必要があるのです。

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