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石綿(アスベスト)法令対応に必須!取っておくべき石綿関連の資格

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現場やオフィスで石綿(アスベスト)管理をする上で、「何の資格が必要なんだろう?」と迷ったことはありませんか?

今回は、石綿(アスベスト)法令対応をする上で取っておくべき資格講習ご紹介いたします。

石綿(アスベスト)法令対応をするための2つの資格と1つの教育

石綿法令対応に関連する資格は、建築物石綿含有建材調査者石綿作業主任者技能講習の2つがあります。

また石綿(アスベスト)が使用されている建築物又は工作物の解体などの作業をおこなう方すべてに石綿取り扱い作業従事者特別教育を受講する義務があります。
それぞれ内容や対象が違いますので、以下でそれぞれ詳しくご説明いたします。

建築物石綿含有建材調査者について

建築物石綿含有建材調査者とは、

厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号(平成30年10月23日)に基づく講習です。講義を受講後、修了考査に合格した受講者には、修了証明書を交付し、調査者として資格が付与されます。

大気汚染防止法及び石綿障害予防規則で定められた、建築物の解体・改修などの前に実施する調査については、建築物石綿含有建材調査者資格を有する者が行わなければなりません。2023年10月1日以降は、同資格者による調査が義務付けられます。

引用:一般社団法人企業環境リスク解決機構

対象者:石綿(アスベスト)を含む可能性がある建築物等の解体・改修などの前に実施する調査を行う者(2023年10月〜義務化)

建築物石綿含有建材調査者講習の受験資格

建築物石綿含有建材調査者講習を受験するためには、下記いずれかの受験資格を満たしている必要があります。

受講資格区分 学歴等 実務経験
1 大卒(建築)
+実務2年(建築)
学校教育法による大学(短期大学を除く。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(※1) を修めて卒業した者 卒業後の建築に関する
実務経験年数 : 2年以上
2 短大卒(建築3年)
+実務3年(建築)
学校教育法による短期大学(修業年限が3年であるものに限り、同法による専門職大学の3年の前期課程を含む。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(※1) (夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した者(専門職大学の前期課程にあっては、修了した者) 卒業後の建築に関する
実務経験年数 : 3年以上
3 短大卒(建築)又は高専卒(建築)
+実務4年(建築)
「2」に該当する者を除き、学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程を含む。)または高等専門学校において、建築に関する正規の課程又はこれに相当する課程(※1) を修めて卒業した者 卒業後の建築に関する
実務経験年数 : 4年以上
4 高卒等(建築)
+実務7年(建築)
学校教育法による高等学校または中等教育学校において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(※1) を修めて卒業した者 建築に関する
実務経験年数 : 7年以上
5 学歴不問
+実務11年(建築)
学歴不問 建築に関する
実務経験年数 : 11年以上
6 建築行政又は環境(石綿)行政実務2年 建築行政または環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関わる者 実務経験年数:2年以上
7 特化作業主任者
+実務5年(石綿調査)
特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者(※2) 石綿含有建材の調査に関する
実務経験年数 : 5年以上
8 石綿作業主任者 石綿作業主任者技能講習を修了した者(実務経験年数不問)(※3)
9 各種専門官 産業安全専門官もしくは労働衛生専門官、産業安全専門官もしくは労働衛生専門官であった者(※4)
10 労働基準監督官2年 労働基準監督官として従事した経験を有する者 従事経験年数 : 2年以上
11 作業環境測定士
+実務5年(石綿調査)
作業環境測定士(※5) 建築物石綿含有建材調査に関する 実務経験:5年以上

2023年10月から義務化される建築物石綿含有建材調査者は、会社に1人いればいいというわけではありません。
事前調査自体を外部に委託することは可能ですが、施工前に現場を確認する人が調査を行えるような体制を取る必要があります。

建築物石綿含有建材調査者については、一般・戸建て・特定のうちいずれかを選択することになります。

 

「一般」「戸建て」「特定」の違いとは?

建築物石綿含有建材調査者講習(一般)の内容

建築物石綿含有建材調査者講習の一般区分の修了者は、住宅、店舗、工場などを含むすべての建築物について事前調査を実施することができます。

講習内容は、11時間の講義の受講、筆記試験に合格すると取得できます。

建築物石綿含有建材調査者講習(一般)
NO. 科目等 時間
1 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1 1時間
2 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2 1時間
3 石綿含有建材の建築図面調査 4時間
4 現場調査の実際と留意点 4時間
5 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 1時間
6 修了考査(筆記試験) 1.5時間

出典:建設業労働災害防止協会

建築物石綿含有建材調査者講習(一戸建て)の内容

建築物石綿含有建材調査者講習の一戸建て区分の修了者が事前調査を行えるのは、一戸建ての住宅または共同住宅の住戸の内部の解体・改修前の事前調査に限られており、ベランダや廊下などの住居以外や共有部分は、一般または特定の資格が必要になります。

建築物石綿含有建材調査者講習(一戸建て等)
NO. 科目等 時間
1 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1 1時間
2 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2 1時間
3 一戸建て住宅等における石綿含有建材の調査 1時間
4 現場調査の実際と留意点 3時間
5 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 1時間
6 修了考査(筆記試験) 1時間

出典:建設業労働災害防止協会

建築物石綿含有建材調査者講習(特定)の内容

建築物石綿含有建材調査者講習の特定区分は、一般区分と同様の講習内容に加えて、
実地研修、筆記試験・口述試験・調査票試験を受験することとなります。

筆記試験・口述試験・調査票試験の試験内容は次のとおりです。

修了考査の試験内容
科目 試験内容 試験時間
口述試験 面接形式により受講者の調査票の説明能力、調査票に関する多分野の理解、調査者としての適性、石綿に関する多分野での総合的理解、を評価する。 20分程度
筆記試験 建築物石綿含有建材調査者講習テキストに記載されている内容に関する習熟度を評価する。 1時間
調査票試験

•建築物石綿含有建材調査者の実務として、調査を実施する際に的確に石綿建材を見極め、過不足のないレポートを作成することを担う。

•前提条件が与えられた架空の建物について、複数の写真を参考とし、石綿含有建材調査者として必要とされる知識を総合的な判断材料として、石綿含有建材と非石綿含有建材を区別する能力を評価する。なお、判別する対象とされる石綿含有建材は、吹付け材および保温材・断熱材に分類されるもの(いわゆるレベル1、2)を対象とする。

1時間

出典:一般財団法人 日本環境衛生センター

どの区分を受ければいいの?

ここまで、建築物石綿含有建材調査者講習には3種類の区分があるというお話をしてまいりましたが、
「実際にどれを受ければ良いの?」と思われるかもしれません。

一戸建て区分の対象者
「一戸建ての住居部分の工事しかしない」

一般区分または特定区分の対象者
「一戸建ての工事しかしないけど、べランダや廊下(住居以外や共有部分)の工事もする」
「マンションやビル等、一戸建て以外の工事もする」

区分に迷われた時は、ぜひ上記を参考になさってください。

一般区分と特定区分の違いって何?

一般区分と特定区分、現在ではどちらを取っても行える業務に差はありません。
どちらをとっていただいても、住宅、店舗、工場などを含むすべての建築物について事前調査を実施することができます。

ただ、特定区分の講習では、実地研修、および筆記試験と口述試験、調査票試験を受験します。
一般区分の講習で行われる試験は筆記試験のみなので、特に実地研修等を必要とされない方は、一般を受講されれば問題はありません。

石綿作業主任者技能講習について

石綿作業主任者技能講習とは、
石綿(アスベスト)が使用されている建築物や工作物の解体等の作業業務を、安全に行うための主任者のことを言います。

具体的には、作業に従事する労働者が石綿により汚染されたり、石綿を吸収しないように作業の方法を決定し、局所排気措置・除じん装置などの予防装置点検・保護具の使用状況の監視および、労働者への作業指揮、退避指示、汚染の除去などを行います。

本講習は、石綿若しくは石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のために製造する業務に選任する主任者に必要な講習です。

引用:一般社団法人企業環境リスク解決機構

対象者:石綿(アスベスト)を含む建材の除去などの作業において、事業者が1名選任

内容:10時間の講習+修了試験

受験資格:なし

石綿建材調査者の受験資格がない人は、石綿作業主任者技能講習を取るべし!

前半で説明をした石綿調査者資格は、石綿作業主任者とは違って、受験資格がないと受けることができません。

受験資格の多くは、建築に関する学歴や実務経験となるので、「石綿調査者資格が必要なのに受験資格がない・・・」と言った声もよく聞こえてきます。(例えば。見積もり作成をするために現地確認をしている新人の営業スタッフ等)

そんな「実務経験や建築に関する学歴は合致しないが、石綿調査者資格が必要」と言う方に朗報です。
石綿作業主任者の資格を取得すれば、「石綿調査者資格」の受講資格が得られます!

当機構では、建築物石綿含有建材調査者講習と石綿作業主任者の予約が可能となりました!
こちらをご参照いただき、ぜひご活用くださいませ。

石綿取り扱い作業従事者特別教育

石綿取り扱い作業従事者特別教育とは、

石綿(アスベスト)が使用されている建築物又は工作物の解体などの作業に係る業務に就くすべての方が受けなければいけない教育です。

事業者が『特別教育』を該当者に受けさせることは義務であり、法令によって定められています。

なお石綿作業主任者は特別教育の受講を省略することができます。

労働安全衛生規則 第一編 第四章 安全衛生教育(第三十五条-第四十条の三)
(特別教育の科目の省略)

三十七条 事業者は、法第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、
当該科目についての特別教育を省略することができる。

 

および

昭和48年3月19日付け基発第145号「労働安全衛生法関係の疑義解釈について」において、
特別教育の科目の省略が認められる者について、「当該業務に関連し上級の資格(免許又は技能講習修了)を有する者、
他の事業場において当該業務に関しすでに特別教育を受けた者、
当該業務に関し職業訓練を受けた者などがこれに該当する」

 

と示されている点、並びに、東京労働局のwebサイトにおいては、

他の事業場において当該特別教育を受けた者、石綿作業主任者技能講習を修了した者等については特別教育の科目の省略が認められています。 

(参考:東京労働局Webサイト)

内容:4.5時間の講習

受験資格:特になし

 

さいごに

2023年10月より、建築物石綿含有建材調査者の有資格者でないと事前調査が出来なくなってしまいます。
どちらの資格も、解体・改修工事従事者とその家族また、工事現場の周辺住民を、石綿(アスベスト)の健康被害を受けないために必須の資格となります。

行政の立入検査や法規制はますます厳しく取り締まっていくと言われています。
石綿の危険性や適切な作業方法等をしっかり理解し、石綿による健康被害を未然に防ぎ、社内でしっかりと体制を整えて準備していきましょう。

当機構では、建築物石綿含有建材調査・石綿作業主任者技能講習を全国規模 最大頻度で開催しています。
また、法人での団体受講(講師派遣)も承っております。
お電話または問い合わせフォームより、まずはご連絡くださいませ。

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