【PART1】え、まだ紙マニフェストを使っているの? はじめよう電子マニフェスト
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1.マニフェストの電子化率は81.4%!
みんな電子マニフェストを使っている
産業廃棄物を委託するときに交付するマニフェスト。
マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェストの2つの方式がありますが、それぞれどれくらい使用されているでしょうか。
電子マニフェストシステムを運営する日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)によると、2024年2月時点のマニフェストの電子化率は81.4%であり、マニフェスト交付数の大半を占めていると推定されています。
2013年度の電子化率は35%ですので、この10年間に凄まじいスピードでマニフェストの電子化が進んだことが伺えます。
環境省も電子マニフェストの使用を一部必須化
紙マニフェストと電子マニフェストはどちらも法令上認められますが、特定の状況では電子マニフェストの使用が義務となります。
2018年4月より廃石綿等の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)を前々年度に50トン以上排出した事業場から、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)を排出する場合には、紙マニフェストは使用できず電子マニフェストが必須となる法改正が施行されました。
環境省にとっても電子マニフェストは下記のようなメリットあるため、普及率の拡大を推進しています。
・排出事業者や処理業者にとって情報管理の合理化
・廃棄物処理システムの透明化
・都道府県等の監視業務の合理化
・不適正処理の原因究明の迅速化を図ることができる
2.これだけ違う、紙と電子。
紙マニフェストの運用方法
紙マニフェストでは複写式7枚つづりの伝票をやり取りすることで産業廃棄物の処理状況を共有するのが一般的な運用です(図1)。
図1の紙マニフェストの運用では、排出事業者はマニフェストを交付することで処理業者に廃棄物の情報を提供するとともに、引き渡し、運搬終了、処分終了、最終処分終了の各段階でA票・B2票、D票、E票のマニフェストを受け取ります。
各マニフェストを受け取ることで各段階の処理が完了したことを把握し、委託した産業廃棄物の処分が問題なく進行していることを確認できます。
電子マニフェストも廃棄物の情報を提供し、処理の進行状況を共有するという目的自体は同じですが、運用方法は異なります。
電子マニフェストの運用方法
電子マニフェストでは、紙の伝票のやり取りではなく、電子情報処理組織(JWNET)に情報を登録することによって排出事業者、処理業者間で情報を共有します。(図2)
図2の電子マニフェストの運用では、排出事業者は紙の伝票を交付する代わりに、JWNETに情報を登録することでマニフェストを交付できます。
また、収集運搬業者、処分業者がJWNETに追加した情報を確認することで、処理の進捗状況を確認できます。
紙マニフェストと電子マニフェストはどちらも「排出事業者から処理業者に廃棄物の情報を提供すること、処理の進行状況を共有すること」という共通の目的を持っていますが、このように運用には大きな違いがあることが分かりました。
電子マニフェストの普及率が年々増加しており、環境省も使用を推奨しているのは紙マニフェストにはないメリットがあるためです。
では電子マニフェストのメリットを見ていきましょう。
3.電子マニフェストに変えるメリットは?
電子マニフェストを使用する主なメリットは
①保管義務の免除、②管理票交付等状況報告書の免除、③検索/照合の効率化の3点があげられます。
①保管義務の免除
廃棄物処理法は紙マニフェスト伝票の保管を各事業者に義務付けています。
保管期間は各伝票を受け取った日から5年間で、電子データ等ではなく原本の保管が必須となります。
このため、大量のマニフェストを交付する事業者等では、たくさんの紙マニフェスト伝票を保管することとなります。
電子マニフェストの場合でもマニフェストの保管義務自体はありますが、発行した電子マニフェストのデータはJWNETに自動的に登録・保存されるため、実務上は事業者が自ら帳票を保管する労力や、紛失するリスクがなくなります。
②管理票交付等状況報告書の免除
紙マニフェストを交付した排出事業者は、年に一度、交付の状況などについて、都道府県又は政令市に報告書を提出しなければいけないことが、廃棄物処理法で定められています。
この報告書を産業廃棄物管理票交付等状況報告書といいます。(図3)
前年度に紙マニフェストを1枚でも交付した事業者は、前年度に交付したマニフェストを集計し6月30日までに上記報告書を提出することが義務付けられています。
報告書では、排出事業場ごとに産業廃棄物の種類ごと、処理ルートごとに集計した排出量を記入する必要があり、集計にはかなりの労力が必要となります。
電子マニフェストを使用した場合には、必要な情報の行政報告をJWNET側が行うため、排出事業者が自ら報告書を作成する必要がありません。
③検索/照合の効率化
マニフェストは交付するだけではなく、期間内に処理が完了しているか、契約と異なる処理をしていないかなどを確認することも重要となります。
電子マニフェストを使用することで、交付したマニフェストの検索、照合や修正、取り消しなどを合理的に行うことができ、業務の効率化と法令違反の予防につながります。
PART2に続きます!
みなさんいかがでしたか?
電子マニフェストを利用することでJWNETにデータが残るため書類の作成や保管の手間が少なくなります。
次回PART2では初めて電子マニフェストを使用する方向けに電子マニフェストの手続きをご紹介いたします!
ぜひPART2もご覧ください。